法律上の賠償責任として
施設・設備などの所有、使用もしくは管理上の事故または業務遂行上の偶然な事故によって企業に発生する法律上の賠償責任には次のようなものが考えられます。

不法行為責任(民法709条)
故意または過失により第三者の権利を侵害した場合、これによって生じた損害を賠償する責任を負うことを不法行為責任と言います。

■例
・化学工場の過失による爆発で周囲の民家を破壊し、住民が負傷したことによる化学工場の責任。
・デパートの防火体制の不備により火災が広がり、お客様が焼死したことによるデパートの責任。
・イベント主催者の警備体制の不備により、お客様が将棋倒しになり負傷したことによるイベント主催者の責任。                                                      など

工作物責任(民法717条)
土地の工作物の設置または保存のかし(欠陥)により第三者に損害を生じさせた場合、そのかしの原因をだれが作り出したかにかかわらず、一次的にはその工作物の占有者が責任を負い、占有者が損害の発生を防ぐために必要な注意をしたことを証明したときに、最終的に所有者が責任を負うことを土地工作物責任といいます。

■例
・ビルの3階から看板が落ちて、通行人に当たり大ケガをさせたことによるビルの所有者の責任。
・レストランの階段の手すりがはずれ、お客様が転落して負傷したことによるレストランの所有者の責任。
・公園の鉄棒が折れ、遊んでいた子供が骨折したことによる公園の所有者の責任。など


使用者責任(民法715条)
業務遂行のために従業員など(被用者)を使用する者(使用者)が、その被用者が業務遂行上第三者に与えた損害について責任を負うことを使用者責任と言います。

■例
・配達員が新聞配達中に、自転車で通行人に衝突しケガを負わせたことによる新聞販売店の責任。
・飲食店の店員がスープをこぼし、お客様に火傷を負わせたことによる飲食店の責任。